心疾患を持つ人がスポーツをするには?方法と注意点を紹介!

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心疾患を持っている人は、以前楽しんでいたスポーツなどができないと思っていませんか?そんな方でも計画的にトレーニングを行うことでスポーツに参加することができます。今回は、心疾患を既往に持つ方が定期的にトレーニングする上で知っておいてもらいたいルールや注意点を紹介します。

トレーニングをする時のルール

心疾患を持つ方は低い強度〜中等度の強度での運動がすすめられますが、その強度でも一定のルールを守ることにより、スポーツに参加する事ができます。今回はホノルルマラソンを例に見ていきましょう。

ホノルルマラソンは、心臓病の医師であるスキャッフ氏の提唱の下、162名のランナーが参加して開催されました。スキャッフ医師は、「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)、長距離をゆっくり走る事は、心臓病の予防とリハビリに非常に効果的である」という医学的な観点から、マラソン大会の開催を提唱しました。健康維持、増進のために日常生活の中にマラソンを取り入れ、最終的には自分のペースでフルマラソンを完走するという大会の精神は、フィニッシュ時間の制限を設定しない大会として今日まで継続しています。

スキャッフ医師著の「Your First Marathon:The Last Word in Long-Distance Running」より引用すると心疾患患者に課すルールは以下の項目になります。 

●練習は少なくとも1時間,週3回。 

●週4回以上練習してはならない。 

●練習中に「トークテスト」に合格すること。 

●20分おきに水を飲むこと。 

 この4つのルールを守りながらトレーニングを継続する事で心臓への過負荷を避けながら、持久力を高める事ができます。心疾患を患いマラソンを諦めていた方でも、この方法でフルマラソンの完走も実現可能となります。

運動強度の目安は?

運動の強度の目安としては、嫌気性代謝域値(AT)を運動負荷の上限に設定する事をお勧めします。

ATとは、運動の強度が増していくとき、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、血液中の乳酸が急激に増加し始める強度の値です。軽い運動から運動の強さが徐々に増していくとき、有酸素運動から無酸素運動に切り替わる転換点となる運動強度のレベルになります。

あまり激しくない運動では筋収縮のエネルギーを産生するときに酸素が消費されます(有酸素運動)。一方、激しい運動では酸素の供給が追いつかなくなり、筋収縮のためのエネルギー産生は解糖系(嫌気的代謝)が中心となります(無酸素運動)。

ATを測る簡易テストの一つにトークテストがあります。トークテストとは、運動中に会話が可能かどうかを指標として、息切れの有無で運動強度を設定します。息切れの判定は主観的なため判断が難しいですが、不自然なタイミングで息つぎを挟んだり、大きな息つぎをしている場合などは陽性と判断できます。息切れがする原因はさまざまですが、心不全や呼吸器疾患がない方が息切れしている場合、体内では無酸素系のエネルギー代謝が起こっています。言い換えると、息切れが起こっていると、嫌気性代謝閾値(AT)を超えた強度であると判断できるため、この場合は運動強度を落とす必要があります。

最近ではより具体的な指標として、乳酸性作業閾値(LT: Lactate Threshold)、換気性作業閾値(VT: Ventilation Threshold)、血中乳酸蓄積開始点(OBLA: Onset of Blood Lactate Accumulation)などを用いるようになってきていますが、これらを総称したものをATと呼んでいる場合もあります。

トレーニングを積んだ運動選手などは心肺機能が強化されて酸素を取り入れる能力が高いため、より強い運動でも酸素不足になりにくく、ATが高くなります。

トレーニングをする際の注意点

心疾患を持つ方は、トレーニングする際に運動強度だけでなくいくつか注意する点があります。効率よくトレーニングの効果を上げるために、以下の3つのことに注意して行いましょう。

  • トレーニングをした翌日は、軽度の運動かオフを設ける。
  • 週4日以上のトレーニングは身体負担が大きいため避ける。
  • 脱水症状を避けるためにこまめな水分補給をこころがける。

これらのことに注意することで、心臓に負担をかけずに筋力・持久力アップを目指すことができます。

まとめ

今回は、トレーニングの到達目標の例として分かりやすかった為、マラソンを例に紹介させて頂きましたが計画的にトレーニングを行う事で、健康維持というハードルだけでなくスポーツに参加する事ができる事も分かって頂けたかと思います。注意点としては、トレーニング日数と休憩のバランスをとりながら心臓への負担を考慮して行うことが大切です。心疾患を持っているからといって運動する事を諦めていた方も、正しいトレーニング方法を理解し、もう一度スポーツに挑戦してみてはいかがでしょうか。