階段の上り下りや椅子から立つ動きで、股関節につまった違和感を覚える方は少なくありません。放っておくと痛みや姿勢のかたよりにつながる場合もあるため、原因を知り早めに整える意識が欠かせません。
この記事では、股関節のつまりが起きるしくみや原因、ピラティスが股関節へ働きかける理由を解説します。また、骨盤底筋を意識したストレッチのコツや、痛みがある場合の注意点まで幅広く紹介します。
読み終えるころには、股関節のつまりへの向き合い方が分かり、自分に合ったピラティスの取り入れ方を見つけられるでしょう。
ピラティスで股関節のつまりは取れるのか

股関節のつまりは、関節そのものが壊れているわけではなく、まわりの筋肉が硬くなり動きを妨げている状態がほとんどです。ピラティスで正しい動かし方を身につければ、かたさがやわらぎ、階段の上り下りや歩行もラクになる可能性があります。
ここでは、骨盤底筋とのつながりを整える視点から、股関節のつまりについて詳しく見ていきましょう。
股関節のつまりとは?
股関節のつまりは、多くの場合、関節そのものがつまっているわけではありません。股関節を支えるまわりの筋肉が硬くなり、動きを妨げている状態を指します。
長時間座りっぱなしの生活や運動不足が続くと、股関節を曲げ伸ばしする筋肉が硬く縮んでしまうため、動かそうとしたときに引っかかるような感覚が生まれます。
たとえば、階段を上るときや椅子から立ち上がるときに、脚の付け根がスムーズに伸びず「つまる」ような違和感を覚える方は少なくありません。同じ姿勢を長く続けるデスクワークの方にも、似た感覚は起こりやすい傾向があります。
つまり感を放っておくと、歩き方のくせや姿勢のかたよりにつながる場合もあります。まずは自分の股関節がどんな時につまりやすいか、日常の動きの中でたしかめてみましょう。
マシンピラティスと股関節の関係
マシンピラティスは、リフォーマーと呼ばれる専用器具のばねの力を使い、股関節を無理なく大きく動かせる点が特長です。
マットのみのピラティスと比べて、ばねの負荷が体を支えてくれるため、股関節まわりの筋肉に均等に働きかけやすくなります。関節への負担を抑えながら可動域を広げられるため、股関節にかたさを感じる方にも取り入れやすい方法です。
仰向けで脚をキャリッジに乗せて押し出す動きでは、股関節を安定させながら大きく伸ばせるため、日ごろ動かせていない部分にも働きかけられます。あわせて骨盤底筋を意識しながら動くと、体幹の安定感も高まりやすくなります。
股関節のかたさが気になる方は、マシンピラティスの体験レッスンで動きの違いを確かめてみましょう。
ピラティスが股関節に働きかけるしくみ
ピラティスは、股関節の位置や動きを意識しながら体を動かす点が特徴です。無意識に生まれた癖をリセットし、使えていなかった筋肉を目覚めさせます。
呼吸に合わせて体幹を安定させながら動くため、股関節まわりの筋肉は偏りなく働くようになります。骨盤や背骨とのつながりを整える動きなので、股関節だけでなく全身の連動もなめらかです。
骨盤底筋を意識しながら脚を上げる動きでは、体幹の土台が安定し、股関節を余分な力みなく動かせます。階段の上り下りや歩行がラクになったと話す方も多いです。
まずは呼吸と骨盤の位置を意識しながら、ゆっくりと股関節を動かす練習から始めましょう。
ピラティスで股関節のつまりが起きる原因

股関節のつまりは、姿勢のくせや筋肉のかたさなど、複数の原因が重なって起こる場合がほとんどです。骨盤底筋を含む体幹の筋肉が弱まると、股関節への負担も増えやすくなります。
ここでは、股関節のつまりを引き起こす代表的な原因を見ていきましょう。
まわりの筋肉が硬くなっている
股関節のつまりが起きる大きな原因は、股関節を動かす筋肉そのものが硬くなる点です。特に、腰と太ももの骨をつなぐ腸腰筋が硬くなると、股関節の曲げ伸ばしがスムーズにいかなくなります。
腸腰筋は歩く動作や階段を上る動作、椅子から立ち上がる動作で働く筋肉だから、日常であまり大きく動かさない生活が続くと、少しずつ縮んで硬くなります。硬くなった筋肉は関節の動きにブレーキをかけるため、つまったような違和感が生まれやすくなるでしょう。
長時間座った後に立ち上がろうとすると、脚の付け根がスッと伸びず、体が「く」の字に固まったような感覚を覚える方がいます。このような状態の場合は、骨盤底筋とあわせて腸腰筋をゆるめておくと、股関節の動きは軽くなります。
毎日のすきま時間に、股関節まわりの筋肉を軽くほぐすストレッチを取り入れてみましょう。
座りっぱなしや姿勢のくせ
座りっぱなしの生活や姿勢のくせも、股関節のつまりを引き起こす大きな要因です。座り心地の良い椅子やソファーで長時間過ごす生活が増えると、股関節を大きく動かす機会そのものが減っていきます。
股関節を動かさない時間が長くなるほど、まわりの筋肉は縮んだまま固まりやすくなるため、いざ脚を上げようとしたときに動きが硬く感じられます。足を組む癖や猫背の姿勢が続くと、骨盤がかたむき、股関節への負担は左右で偏りやすくなあるでしょう。
デスクワーク中心の生活を送る方は、腰から脚の付け根にかけての筋肉が縮んだ状態で固まりやすく、立ち上がった瞬間に股関節がスムーズに伸びない感覚を覚えやすいです。骨盤底筋も加えた体幹まわりの筋肉が弱ると、姿勢のかたよりも大きくなりやすくなります。
一時間に一度は立ち上がり、股関節を大きく動かす時間を意識的につくりましょう。
変形性股関節症との関わり
股関節のつまりが慢性的に続く場合は、変形性股関節症と呼ばれる疾患が関わっている場合もあります。国内で股関節に痛みを抱える方は400万人から500万人にのぼるといわれ、その多くが変形性股関節症を原因とする調査結果もあります。
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかりやすくなる状態です。年齢を重ねるほど発症しやすく、特に40代から50代の女性に多い傾向がみられます。放っておくと、痛みが強まったり、歩行そのものが難しくなったりする場合が少なくありません。
階段の上り下りで強い痛みを感じたり、手すりがないと立ち上がりにくかったりする場合は、単なる筋肉のかたさではなく、疾患が背景にある可能性があります。骨盤底筋も加えた体幹トレーニングも、症状によっては医師と相談しながら取り入れる必要があります。
股関節の痛みが長引く場合や強い違和感がある場合は、自己判断せずに整形外科を受診しましょう。
ピラティスは股関節の痛みに効く?

股関節の痛みは、筋肉のかたさや使い方のくせが原因になっている場合、ピラティスで動かし方を整えることでやわらぐ可能性があります。骨盤底筋を含む体幹の筋肉を安定させながら動くため、股関節への負担も軽くなります。
ここでは、ピラティスと股関節の痛みの関わりを見ていきましょう。
痛みがやわらぐと言われる理由
ピラティスで股関節の痛みがやわらぐと言われる理由は、左右の筋肉のバランスを整えながら動く点にあります。体の片側だけに負担がかかる動きを見直すため、背骨や骨盤のゆがみも同時に整いやすくなるでしょう。
股関節の痛みは、まわりの筋肉が硬直し、関節にかかる負担が偏るために起こる場合があります。ピラティスでは呼吸に合わせて体幹を安定させながら動くため、股関節にかかる力が分散され、痛みの軽減につながりやすくなります。
たとえば、片脚だけをかばう歩き方が続いていた方が、骨盤底筋を意識した呼吸を取り入れながら体幹を整えると、歩くときの左右差が少しずつやわらぐ場合があります。痛みが強い時期を過ぎたら、無理のない範囲で体幹を整える動きから始めましょう。
マシンピラティスと股関節痛の相性
マシンピラティスは、リフォーマーのばねが体を支えてくれるため、股関節に痛みを抱える方でも取り入れやすい方法です。マットのみの運動と比べて関節への衝撃が少なく、痛みが出やすい方にも向いています。
ばねの負荷を調整しながら動けるため、痛みの度合いに合わせて可動域を少しずつ広げられます。股関節を支える筋肉に均等な力を伝えられるため、痛みをかばって偏った筋肉の使い方も整いやすくなります。
仰向けで脚をキャリッジに乗せて軽く押し出す動きでは、股関節への負担を抑えながら、骨盤底筋を意識した体幹の安定も同時に養える方法です。股関節に痛みがある方は、いきなりマットで大きく動かず、マシンピラティスの体験レッスンから試してみましょう。
無理なく続けるためのポイント
股関節の痛みとうまく付き合いながらピラティスを続けるには、痛みの程度に応じて動きの強さを調整する意識が欠かせません。強い痛みを我慢して動き続けると、症状が悪化する場合もあります。
股関節の状態は日によって変わりやすく、同じ動きでも痛みが出る日と出ない日があります。無理に決まった回数をこなすより、体の声を聞きながら動きの大きさを変えるほうが、長く続けやすいでしょう。
変形性股関節症の診断を受けた方や手術を経験した方は、自己流で進めず、専門知識を持つインストラクターのプライベートレッスンを受けると安心です。まずはかかりつけの医師に相談したうえで、自分に合ったペースでピラティスを取り入れましょう。
ピラティスで股関節のストレッチをするコツ

股関節のストレッチは、やり方や順番を少し工夫するだけで、つまり感のやわらぎ方が変わってきます。骨盤底筋を意識しながら動くと、股関節まわりの筋肉にもバランスよく働きかけられます。
ここでは、股関節のストレッチをするコツを見ていきましょう。
つまりをゆるめるおすすめの動き
股関節のつまりをゆるめるには、いきなり大きく動かすより、股関節を回すような動きから始める方法がおすすめです。回す動きは、股関節まわりの筋肉に幅広く働きかけられるため、かたさが取れやすくなります。
股関節は骨盤や太ももの骨とつながっているため、脚だけを動かそうとすると、かたい部分に余計な力が入ってしまいます。骨盤の位置を安定させながら脚を回すと、股関節の深いところにある筋肉まで届きやすくなります。
仰向けで両膝を立てて骨盤を安定させ、片脚を持ち上げて小さな円を描くように回す動きは、股関節を外側と内側の両方からゆるめられます。骨盤底筋を軽く引き上げる意識を添えると、体幹も一緒に整うでしょう。
まずは朝起きたタイミングで、股関節を回す動きから体を目覚めさせましょう。
マットでできる簡単なストレッチ
マットの上でできるストレッチは、道具を使わずに股関節へ働きかけられる手軽さが魅力です。仰向けや座った姿勢から始められる動きが多く、体がかたい方でも取り組みやすい方法です。
股関節を支える筋肉は、床に体を預けた姿勢だと余計な力が抜けやすく、無理なくゆるみます。座って行うストレッチでは、骨盤を立てた姿勢を保ちながら脚を開くと、股関節の内側にじんわりと伸びを感じられるでしょう。
仰向けで膝を立てて骨盤を安定させ、片脚をゆっくり外側にたおす動きは、股関節の可動域を広げるだけでなく、骨盤底筋を含む体幹の意識づけにもつながります。寝る前の数分間に、マットで股関節をゆるめる時間をつくりましょう。
マシンを使ったストレッチのやり方
マシンピラティスの器具を使ったストレッチは、ばねの力で体を支えてもらいながら股関節を動かせる点が特徴です。自分の力だけでは伸ばしにくい部分にも、無理なく届きやすくなります。
ばねの負荷が一定の力で体を支えてくれるため、股関節まわりの筋肉に均等な伸びを与えられます。マットのストレッチでは届きにくい深い部分の筋肉にも、マシンなら安定した姿勢のまま働きかけられるのが特徴です。
たとえば、キャリッジに脚を乗せてゆっくり押し出す動きでは、股関節を大きく伸ばしながら、骨盤底筋を意識した呼吸もあわせて練習できます。自己流の動きに不安がある方は、インストラクターの指導のもとでマシンストレッチを試しましょう。
ピラティスで股関節をケアするときの注意点

ピラティスは股関節にやさしい運動ですが、体の状態によっては気をつけたい点もあります。骨盤底筋を含む体幹まわりを整える動きだからこそ、無理な負荷をかけない工夫が欠かせません。
ここでは、股関節をケアするときの注意点を見ていきましょう。
痛みが強いときの見極め方
股関節に強い痛みがある時期は、ピラティスの動きを一旦控える判断も必要です。動かすことで血流が良くなる場合もありますが、炎症が起きている状態では逆に負担が増える場合もあります。
痛みには、動いた後にやわらぐタイプと、動くほど強まるタイプがあるため、自分の痛みがどちらに当てはまるか見きわめる姿勢が欠かせません。じっとしていても痛む場合や、夜間に痛みで目が覚める場合は、単なる筋肉のかたさとは違う可能性があります。
股関節を動かした直後は平気でも、時間が経ってから強い痛みが出る場合は、体幹を整える程度の軽い動きにとどめておくほうが安心です。骨盤底筋を意識した呼吸だけを行い、脚を大きく動かす種目は控えましょう。
変形性股関節症の人が気をつけたいこと
変形性股関節症と診断されている方は、自己流でピラティスを進めず、医師やインストラクターと相談しながら取り組みましょう。股関節の軟骨がすり減っている状態では、負担のかけ方次第で進行のスピードが変わる場合もあります。
股関節を支える筋肉を整える動きは、症状の緩和に役立つ場合が多い一方で、可動域を無理に広げる動きは関節への負担につながる場合があります。手術を受けた後の方は、回復の段階に合わせて動きの強さを調整する必要があるでしょう。
股関節の人工関節置換術を受けた方が、体を慣らしながら少しずつピラティスを再開し、骨盤底筋を意識した呼吸から取り入れて回復を実感した例もあります。診断や手術の経験がある方は、まずかかりつけの医師に相談したうえでレッスンを始めましょう。
レッスンを選ぶときのポイント
股関節に不安を抱えている方は、レッスンの形式を慎重に選びましょう。大人数のグループレッスンでは、自分の股関節の状態に合わせた細かな調整を受けにくい場合があります。
股関節の状態は人によって差が大きいため、インストラクターが個別に体の動きを見てくれるプライベートレッスンのほうが安心です。医療機関と連携しているスタジオを選ぶと、変形性股関節症などの診断がある方でも相談しながら進められるでしょう。
たとえば、股関節の専門レッスンを設けているスタジオでは、骨盤底筋を含めた体幹の使い方まで丁寧に確認しながら進めてくれる場合があります。レッスンを選ぶ際は、体験レッスンで自分の股関節に合った指導かどうかを確かめましょう。
まとめ

股関節のつまりは、関節そのものの異常ではなく、まわりの筋肉が硬くなって動きを妨げている状態がほとんどです。ピラティスで骨盤底筋を含む体幹を整えながら動かし方を見直すと、つまりや痛みがやわらぎ、階段の上り下りや歩行もラクになりやすくなります。
ただし、変形性股関節症や強い痛みを抱えている場合は、自己流で進めず、医師やインストラクターに相談しながら取り組む姿勢が欠かせません。マシンピラティスやマットストレッチなど、自分に合った方法を選べば、無理なく続けられます。
まずは体験レッスンなどで自分の股関節の状態を確かめながら、骨盤底筋を意識したピラティスを少しずつ生活に取り入れていきましょう。
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